こんにちは。
今回は映画ドラえもんから…
「ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記」について!!
皆さんこの作品どう思いますか??
個人的には批判も肯定もあまり見かけない空白の作品のような気がしています。
「F先生の遺作」という位置付けではありますがあまり語られていない印象です。
僕としては小さい頃VHSで何度も観た作品なので思い入れはあるはずなのですが、今思い返してみると………??
あらすじ
「生命のねじ」という秘密道具で馬のぬいぐるみ「パカポコ」に命をあたえたのび太は夜遅くに隠れて空き地で遊んでいた。
スネ夫の自慢につい馬と牧場を持っているとウソをついてしまいドラえもんに助けを求める。
牧場を作る土地はないと一喝されるが小惑星が当たる未来の福引きのハズレくじで何故か自然豊かな星に辿り着く。
そこにおもちゃの街を作り楽しむドラえもん達だが、脱獄した前科百犯の熊虎鬼五郎という犯罪者が紛れ込んでしまう。
こんな感じでしょうか。
まず良いところから。
良いところその①
・テンポがよい
冒頭でぬいぐるみの動く馬が既に存在している所からスタートするので余計な説明などが一切なく、
馬→スネ夫の自慢→のび太の強がり→偶然違う星に→おもちゃの街建設
という流れがスムーズに進行する。
良いところその②
・よく考えるとヤバい
まず「生命のねじ」という道具がヤバい。
作中で説明はありませんが無機物に相当長い期間続く生命を与えます。
さらに最初は偶然とはいえ人工的に知恵と人格を与えることに成功、
さらには「タマゴコピーミラー」でそれらを量産する。
この流れでおもちゃの街を作っていくのですが……
考えてみると結構ヤバくないですか??
いきなり話が変わりますが「鋼の錬金術師」では、敵側が人形に精神を与え軍隊を作っています。
人を作るのを禁ずるのは個人で軍隊を持たせないようにするためという描写があったり。
「NARUTO」では穢土転生や白ゼツといった不死の軍団を作り戦争をしていました。
このような方法により「悪の個人軍vs正義の集団」が成り立ち世界の危機に発展していくのですが…
「生命のねじ+タマゴコピーミラー」のコンボはいとも簡単に悪の個人軍が作れちゃうのです。
実際、今作のヴィランである鬼五郎は偶然ではありますが自分のコピーを作り簡易的な軍隊を作り出します。
ぬいぐるみ達も新たな生命を生み出し、結果的には鬼五郎達を数で圧倒しました。
う〜んヤバい。
まぁドラえもんの道具はこれ以上にヤバいものも沢山あるのでわざわざツッコむのも野暮ですかね。
ヤバい道具のほうが楽しいし。
道具と言えば、映画版のノルマとも言えるタケコプターの電池切れもちゃんとありますのでご安心を。
↓↓ここからは不満点です↓↓
不満点その①
テンポはいいが省きすぎ‼
導入部分はいいとしても、おもちゃの街を作るシーンを飛ばしてしまうのはナンセンス。
映画ドラえもん特有の自分達の世界を手作りしていく描写は「雲の王国」や「日本誕生」「創世日記」でも序盤の山場ともいえる大切なシーンだったはず。
その大切なシーンが全カット。
テンポはいいんだけどね………
またジャイアンが弟のようと称する恐竜のぬいぐるみ「ティラ」が急に出てきたり、
しずかちゃんのサルのぬいぐるみ「ウッキー」が活躍したりとバラエティに富んではいるが何だか全てが急なんだよなぁ……
ぬいぐるみを手に持っているシーンは確かにあるのですが前フリとしては弱いし、
しかも簡単な紹介もなしに結構重要な動きをするキャラクターになってしまっています。
↑急に出てきていきなり地球に行き勝手に役に立つ仲間を増やして戻ってくる大活躍①。
↑敵の目を逃れながら地球に行きスペアポケットを取ってくる大活躍②。
サルいなきゃ詰んでたほど重要なキャラクターです。
カワイイ。
不満点その②
これは皆さん同意のはずですが…
悪役がショボい‼
前科百犯の脱獄囚と言えば十分恐ろしい名前に聞こえますが、
ドラえもん達は何度も地球の危機や宇宙の危機を救ってきたスーパー戦隊ですよ??
完っっ全に力不足。
最後も数が多いだけのぬいぐるみと小学生に完封されてるし弱い印象しか残りません。
不満点その③
焼き増し感が強い‼
この映画の重要な軸となっているのは「種まくもの」の存在でしょうか。
映画ドラえもんで何度も取り上げている「環境問題」へのアンチテーゼのためのキャラクターなのだが、
この流れ「雲の王国」や「アニマル惑星」で散々見たよなーっと思ってしまう。
ちなみにこの神のような存在が「後は君たちに任せる」といって去っていくことからF先生の遺作である印象が強くなっている。
またドラえもんが頭から吹き飛ぶシーンや、前作「銀河超特急」で出てきた道具が再登場したりとどこかで見た描写が多い=焼き増し感が強くなっている要因でもあるような。
今作のトラウマ枠であるのび太が谷底へ落ちていくシーンも確かに絶望感はあるのだが何かもうひと押し足りない……
↑絶望感を煽る雰囲気作りが上手くいっていたらもっと怖いシーンになっていたと思うんですが……
・逆に細かい良かったシーン
↑見張りの鬼五郎を倒すシーンで、地球から連れてきたパンダの乗り物を囮にする場面。
「小さい頃乗ってみたかったんだよなー」と鬼五郎が呟き、ついつい乗ってしまう描写は悪役の恵まれなかった幼少期を想像させる良いシーンだと思います。
最初から悪いヤツなんていないんですよね。
原作にはないシーンのようで映画版のナイスな肉付けだと思います。
以上、個人的な感想でした。
意外と思い入れがあったみたいで長くなってしまいましたね。
今回見返してみて新たに思ったのは、
最初に知能を持って生まれたぬいぐるみピーブですが、
あれは偶然ではなく種まくものの意思で生まれたんだなーと思いました。
ピーブは種まくものが起こした嵐の後、雷に打たれたエネルギーで突然変異が起き知能を持ちます。
ピーブは自然破壊を許さず星の環境を守るために序盤から動いており、そこには種まくものの意思を強く感じました。
大人になると難しいこと考えちゃうねー笑
最後に「パカポコ」というネーミングセンスが大好きです。
のび太のように感情を入れて「プゥワァカプォコォ」と叫びたい。
以上。
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